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技術紹介

木造住宅の市場はいま、どうなっているか?
専門家にうかがってみました。

これから大切なのは、
物作りの前提となる「経営の考え方」。
住宅ジャーナリスト・福原正則
先月より一段と景気が厳しくなった。先ごろ中部圏の大手ビルダーの倒産があったばかりだが、3月末はもっと大変だという予測が現実になるのを誰も疑わなくなった。いま筆者は会う人ごとに現況と見通しを聞きまくっているが、その反応は2通りしかなくなっている。つまり危機的状況か、あるいは良いかのどちらかである。少し悪いとか昨年並みなどという中間の答えがほとんど聞かれなくなった。特に都市部の住宅業界は、新築もリフォームも二者択一の状況である。
東京にある社員40人ほどの建築会社の社長は、「うちは毎月最低1億売上が必要だが、今月はまだ4000万円しかない。月末に1件3000万円の契約があるのでなんとか行けそうだが、こんな状況が続いたらアウトだ」と語る。あまりに急激な需要の落ち込みと金融機関の締付けで、少し悪いとか昨年並みという景況感が吹っ飛び、会社経営そのものが存亡の瀬戸際に立たされはじめている。わずか数ヶ月前までは過去最高などというところも結構あった。しかしお金の流れはそうではなかった。銀行から融資を引き出すのに半年かかったとこの社長はこぼすのだ。これはまだ良い方かもしれない。状況はどこも益々厳しくなっている。
一方で、“良い”という反応を示す会社は今何をしているのか。まず彼らは「ピンチはチャンス」だと一様に語る。あるリフォーム会社の話だが、昨年から出店攻勢をかけて、半年で3店舗ほど出した。今度また横浜に出店するという。で、何とこの横浜店は出店前から黒字予測だという。種明かしをすると実に簡単だ。ネットによる顧客がすでに十分にある。ネットでその地域から上がってくる情報をフォローするだけで、十分に出店に見合う受注ができるのだ。さらにまた、これまで新卒や経験の少ない社員中心の配置しかできなかったが、最近は新築業界から流れてくる即戦力の優秀な人材が簡単に採用できるようになったので、出店成果も短期間に出せるようになったのだ。まさに千載一遇のチャンスである。営業情報はあふれるほど入ってくる。「取りこぼしが相当あったので、それを取り込むだけだから簡単。人材も採れるし」とその経営者は語る。


では地方の状況はどうだろうか。ここ10年来過疎化の進展で良い悪いがなくなっているのが地方の住宅市場だから、ずっと悪いともいえるし逆に大きな変動がないとも言える。先月もこの欄で述べたように「悪いのは都市の分譲住宅市場」という見方はその通りであるが、ここに来て地方市場にも大きな変化がある。金沢にデザイン性の高い注文住宅を手がけて評判のよい会社があるが、この会社もいま大変忙しいという。ただし注文住宅が忙しいのではない。大規模改修である。最近の例では100坪の家を大改修した。住むのは老人1人。田舎の典型的な大規模改修だという。もともとリフォーム業出身の会社であったが、10数年かけて新築にシフトしてきた。新築はリフォームよりも手間が掛からず単価も大きいし、何より自由な商品作りが出来る。ずっと新築の業績を伸ばしてきていたが、最近は大規模改修が増えてきた。その代わり新築は減った。
九州の建材店経営者も似たような話をしている。「リフォーム業者が建替え新築を受注するケースが目立つようになった」というのだ。つまり、いずれも営業窓口が新築オンリーでは、大規模改修も新築も受注できないという意味だろう。工務店やビルダーは新築、注文住宅に対するこだわりがいまだに強い。だから利益を上げてこられたということもあるだろうが、経営戦略的にはマイナスを積み上げてきたところも多い。そうした新築一辺倒の経営では、施主の心をつかみきれなくなったのだ。

さて、これから無事に大変な3月末を切り抜けられたとして住宅の景気はどうなるのか。「全く分からない」というのが筆者の、いや業界人の素直な感想だろう。それでも、たった1人だけ「過去最大のローン減税効果で絶対に良くなる」という経営者がいた。関西で建材販売、プレカット工場などを行う年商100億の会社だ。いま一番厳しいと言われるプレカットだが、ここでは受注も順調ということであり積極的な見通しになっているようだ。
では、我々もこうした力強い予測をしていくためには、今何に根拠を求め、目標を定めていけばいいのだろうか。ざっと見渡したところこの経営者のように「過去最大のローン減税効果」と長期優良住宅認定くらいしかないようだ。しかし、ここに述べてきたように新築住宅への消費者の考え方、意識が大きく変ってきたことだけは確かである。つまり、これまでの住宅業界が、今までと同じような営業の仕方、建築の仕方、経営をしていたのであれば、今までと同じような注文住宅も分譲住宅も全く売れないということである。
これからも今までと同じような方法で売れるのはただ一つしかない。またぞろ勢いを出し始めたローコスト住宅・低価格住宅だけだろう。それもこれまで以上の徹底したローコストでないと売れない。それが証拠にマクドナルドやユニクロが最高益を挙げている。
だから、一般的な工務店、ビルダーが立ち向かえる世界ではないので、それよりも今述べたように消費者の意識の変化をしっかり捉え、物作りだけでなく経営戦略でもきちんと対応していくことだ。

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