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木造住宅の市場動向

木造住宅の市場はいま、どうなっているか?
専門家にうかがってみました。

露呈した商習慣と、
ますます目が離せない国の動き。
住宅ジャーナリスト・福原正則
いま住宅で一番勢いのあるところはどこだろうか。住宅着工は2月も前年比24.9%減と大幅に落ち込む結果となった。方々で話を聞いても3月、4月も芳しくない状況で、勢いなど少しも感じられない。悪い方を言えば分譲ダメ、マンションダメ、貸家ダメとダメダメづくしであり、唯一中小工務店の主戦場である注文住宅は、ずーっと変わらずダメの状況である。その中で唯一元気がいいといったら国である。
国は住宅と関係ないじゃないかと反論されそうだが、いま住宅を考える上で一番注目しておかなければならないのが国の動向である。この欄でも何度か話題にした住宅ローン大減税に始まって、大きなものだけでも6月に長期優良住宅認定制度、10月に瑕疵担保責任保険がスタートする。これに加えて、今年は早くも補正予算の上積みである。国は住宅に対して“行け行けドンドン”の施策を次から次へと出してきている。100年に一度の大不況の中で、内需回復の大きな柱として期待されているわけである。予算は山盛りつくし、早速執行しなければならないし、その準備などで大忙しの状況である。
そんな国の動きにいち早く反応しているのが、大手ハウスメーカーなどだ。これまで、長期優良住宅認定に必要な住宅履歴などに後ろ向きだとの批判もあったが、ここに来て熱心に取組み始めている。というものローン控除をはじめとして不動産取得税、固定資産税、登録免許税など、ほとんど全ての面で長期優良住宅が有利であり、どのみち大手の受注価格は高いのだから、「我々の方が効果がより大きいのは明らかだから」というわけだ。ある検査機関の話によると、大手から長期優良住宅の認定基準、仕様等に関する細部の問い合わせが非常に多くなっているという。6月4日の法律スタートに合わせて、長期優良住宅の全面展開が始まりそうな勢いだ。


一方で気になることもまた浮上してきた。住宅業界の商慣習の話である。今年初め富士ハウスが倒産したときにも問題になり、また先頃埼玉の中堅ビルダーの倒産でも問題になっている「工事代金の過払い」である。昨今住宅建築の請負では施主は契約時、着工時、工事中間、引渡し時など数回に分けて工事代金を支払う契約が一般的である。富士ハウス等では、業績不振ゆえのサギまがいの行き過ぎた営業活動が問題となったが、そこから一歩引いて冷静に考えてみると、これらの事件で業界のこうした商慣習が露わになったということでもある。それは、住宅請負では常に施主側が代金の過払い状体になっているということである。
あるビルダーでは契約時に3分の1、着工時に3分の1をもらい、着工時には、工事の出来高が殆どゼロであるにもかかわらず、契約額の6割方入金されているというのだ。リフォーム会社では着工までに8割支払ってもらう契約をしているところもある。こうした施主の過払い状況は、住宅会社の規模にあまり関係なく最近はよく行われている。経営の効率化ということでむしろ励行されてきた。
しかし大きな企業でも一寸先が闇であり、いつ工事を継続できなくなるか分からない時代だ。そんなこと分かってしまえば施主だって代金の過払いなんか出来ないし、したくない。さらに悪いことに、このような出来高とリンクしない過払い案件では、完成保証も役に立たないことが分かってきた。
上記の埼玉の中堅ビルダーでは完成保証に入っており、万が一倒産しても完成保証が付いているので安心して工事が継続できると言っていたらしい。しかし契約者の状況を見ると、富士ハウスの例に漏れず、多くが過払い状況に至っていた。保険会社も契約書にない過払いが随分あるということで対応に苦慮しているのだ。そんな例は全国で起きているようで、最近保険会社もあまり積極的に完成保証を進めなくなっている。
つまり「工事代金を全額先払いすれば200万円値引き」などというセールストークは、施主にとって全く危険きわまりないものだし、業界にとっては自ら首を絞めるだけである。しかし問題点はそんなことではなく、施主に過払いを求めざるを得ない住宅業界の“商慣習”である。この問題に関しては国も注目しており、業界のこうした商慣習、経営体質を把握している。先日国交省の人と話をする機会があったが、工事進行や出来高をちゃんと把握できる方法に、ガイドラインを検討する意向もあるようだ。そのうち長期優良住宅の要件として、安心して住宅建築が出来るようにという理由で、工程管理や出来高管理をしっかり求められるようになるかもしれない。


だから、これから住宅業界に本当に必要になってくるのは、こうした管理力、具体的に言えば出来高の把握である。簡単なことだといえば簡単なことだ。しかし、現場の出来高通りに施主から代金をもらい、工事代金を下職に支払うことは至難の業である。それを消費者から求められ始めているのである。そこで改めて注目されているのが、現場の管理ソフトだ。
今までだってCADソフトなどにもついていたが、あまり使われてこなかった。何故かというと必要なかったからだ。工事管理と出来高管理は似て非なるモノである。工事管理といえばスケジュール管理であり、出来高管理といえば下職にいくら支払うかだけである。これまで戸建住宅のような小さな現場で工程管理や出来高管理があまり言われなかったのは、前述の通り施主から過分にお金をもらっているので、正確に現場の出来高を計ってお金を支払う必要がなかったからだろう。そんなことをしなくても現場は回る。加えてつなぎ融資などという制度も出来高とリンクしない現場を助長してきたのではないか。
今後、施主の過払い防止のため規制がかかると、これまでのような工事代金授受が出来なくなるかもしれないのだ。では、どうするか。答えは地道に工程管理と出来高管理をシッカリやるしか方法がない。そのとき、品質管理や出来高管理を行い易い標準的な工法であれば一層望ましい。在来工法というのは現場に入る大工によって工事進行、納まりなどは千差万別である。それではこれからの施主は納得しない。というよりも瑕疵担保保険を引き受ける保険会社も満足しない。であれば、住宅履歴にしっかり建物の内容を記録する長期優良住宅の方が良いと言い出すに決まっているだろう。というわけで全てが繋がっているので国の動きにしばらく注目である。


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