
最近、景気は少し明るさが見えてきたようだ。国の経済報告でも2カ月連続で上方修正であり「底を打った」としている。このところ株価も持ち直して来ているし、車の販売台数も回復の兆しが見え始めた感じだ。住宅はどうかとみると相変わらず厳しい状況だが、一部に「忙しくなってきた」「受注が上向いてきた」という声も少し聞かれるようになった。皆さんのところはどうだろうか。
政府は一生懸命今回の大型経済危機対策の効果を宣伝したいところだろうが、失業率が4%を超えていて、雇用不安、所得の低迷という状況のなかでは、景気回復を肌で感ずる部分はまだまだだのよう。ただ生活と密接に関係している車や住宅で明るさが見えだしたことはよいことだと思う。最も明るさの中身を見てみると本格的な需要回復の動きではなく、政府の期待通りなのか、エコカー減税や住宅ローン減税などの政策が奏功し始めたところだという感じはする。まあ、それらの景気浮揚策をどうとらえるのかは別として、住宅業界としては今後の需要がどのようになるのか大いに気になるところだ。
そのポイントとなるのは、この欄でも毎回取り上げている「長期優良住宅」であることは間違いないだろう。前回少し触れたが、先着順で100万円の補助金がもらえる「長期優良住宅普及促進事業」に対して工務店業界の関心が非常に高くなってきたのだ。
長期優良住宅については、この間まで「200年住宅って、どうなの?」と半信半疑の模様眺めという工務店が多かったが、6月4日から法律も施行され長期優良住宅認定制度がスタートした。大手ハウスメーカーが軒並み対応を始めたのに加え、タマホームまでが“長期優良住宅仕様”を発売する。こちらはあくまで長期優良住宅“仕様”とのことだが、それらの大手企業の宣伝効果は抜群だろう。消費者にとっては今後、「長期優良住宅=良い住宅=税制優遇が受けられる住宅」というイメージがどんどん浸透していく。
そんなタイミングで、200万円の補助金がもらえるが技術的なハードルの高い「長期優良住宅先導的モデル事業」とは別に、認定を受けただけで誰でも100万円の補助金がもらえる「長期優良住宅普及促進事業」がスタートしたのだから、工務店業界も飛びつかないわけにはいかないのは当然だろう。各地で開催される説明会や長期優良住宅の技術講習会はどこも盛況である。