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木造住宅の市場動向

木造住宅の市場はいま、どうなっているか?
専門家にうかがってみました。

住宅にもエコエネルギーの波。
住宅ジャーナリスト・福原正則

太陽光発電の勢いが止まらない。国の施策やグリーンエネルギーブームで昨年は大幅な増加となった。先ごろ発表された統計によると太陽電池セルモジュールの出荷は、09年度第3四半期(10月〜12月)が前年同期比47.2%増の46万キロワットだが、なんと国内出荷は191.6%増の19万キロワットと3倍増となり国内需要が過熱している。その中でも住宅用が同232.7%増の16万7000キロワットとなった。第2四半期との比較でも30.3%増加、住宅での需要が著しい。
住宅用では09年4月から12月までのトータルでも既に、08年一年間の20万キロワット弱を大きく上回り、37万キロワットを超えて倍増となるのは確実だ。
では、住宅でどの市場が大きな需要となっているかを見てみると、既築住宅での設置が主流になっている。政府機関によると昨年(4月〜12月)住宅に設置された太陽光発電は12万戸で、そのうち既築住宅が7万戸に達しているとのことである。訪販が嫌われたり補助金が打ち切られていたりなどで、既築住宅いわゆるリフォーム市場での太陽光発電の需要は最近まで低調であった。ところが昨年1年間だけで、市場は大きく変わったとみていい。
しかし、リフォーム業界を見てみると太陽光発電が売れているという声が余り聞こえてこない。どちらかというと「ブームなので扱いたいけど受注が難しい」という声が多いのだ。新築ではゼロエネルギー住宅とか、ゼロエミッションハウスなど、大手でも太陽光発電を装備した住宅を商品化し、地場ビルダーなども標準搭載住宅を販売するなど話題に事欠かない。中小のリフォーム業界は、逆に価格対応が難しいこと、リフォームでの屋根架台設置に対する知識不足などで、積極的に取り組むところが少ないのである。
では、昨年大幅にリフォーム市場で伸びた原因は何かというと建築以外のチャネル、特に家電量販店などが昨年から積極的に販売を強化してきたからだ。ヤマダ電機、ヨドバシカメラをはじめとして、ホームセンター等でも売り上げを伸ばしているのだ。新築でもエコの波に乗って伸びているというよりも、新築市場の低迷で住宅価格が大幅に下がっている折でもあり、太陽光発電は格好の付加価値アイテムになるので売れているということのほうが本当かもしれない。

太陽光国内出荷用途別
国はCO2排出量25%削減に向けて、様々な計画を進めているが、家庭用太陽光発電では10年後に1000万世帯への普及を掲げている。その数字は現在のざっと30倍である。そうなると新築戸建が全て太陽光発電を搭載したとしても、これから10年間で300万戸程度にしかならない。残りは既築住宅への搭載、つまりリフォーム市場での普及となる。残りの700万戸のうちの相当部分が、既築住宅の戸建での設置で占めるということになる。大市場がぽっかり口を開けて待っているのである。しかし、その市場は大手家電などの「売るだけ」の流通が担えるものではない。太陽光発電の既築住宅への設置は、そんなに甘いものではないのである。
名古屋で長年太陽光発電の設置工事を行ってきた会社では毎月100現場ほど工事を行っているが、「既築住宅での工事は相当ノウハウが必要だ」とその社長は語る。同社は10数年前から専業で太陽光発電の設置工事を行っている会社で、様々な問題を経験してきた。その会社は、「既築住宅は屋根形状が千差万別であり十分把握していないと、5年以内に半分はクレームになる」と断言する。
すでに国でもそうした実態は十分把握しているようで、リフォームでの施工指針を作っているところだ。既存住宅の瑕疵保険のスタートやインスペクション制度の動きと併せて考えると、既築住宅でのクレームは相当発生するという予測であり、その対策を立てようとしている。もっとも、それらの制度は太陽光発電のためだけではないだろうが、まだ技術・施工力の蓄積のないリフォーム業界では、こうした新たな制度が伴えば今まで以上に積極的に取り組めるはずである。
細工務店にとっては、そうした認定を取ることさえ結構難しく、手続きも煩雑なのだ。

それにしても、最近の住宅は太陽光発電だけでなく、ツインソーラー(太陽光発電とエコキュート)などでオール電化とセットにしたり、さらには電気自動車対応の充電設備を装備したりするなど、“電気”がキーワードとなっている。
さらにまた、最近の報道によれば、年末には電気自動車が300万円を切った値段で買えるようになるので、こちらも相当売れるはずだ。自動車業界は、ガソリンと電気自動車のハイブリッド車や燃料電池車などでしのぎを削ってきたが、ここにきて一足飛びに電気自動車の普及が見えてきた。
そうなると、住宅での電気自動車用の充電設備は必須になる。既にそんな商品を開発しているハスウメーカーもあるが、太陽光発電システムと連動してより効率よく太陽エネルギーで充電できるものとなれば、住宅と電気自動車はワンセットのエコ商品となるだろう。また高圧な電源を雨ざらしにもできないだろうから、インナーガレージ付きの住宅プランも大いにはやるかもしれない。様々なイメージが膨らんでくる。
今後、住宅は「太陽」という視点よりも「電気」という方向に大きくシフトしていく感じである。その時雨漏りがクレームになる可能性があると心配するのでは、余りにも時代遅れである。施工の技術力の向上がますます必要だろう。


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