
国はCO2排出量25%削減に向けて、様々な計画を進めているが、家庭用太陽光発電では10年後に1000万世帯への普及を掲げている。その数字は現在のざっと30倍である。そうなると新築戸建が全て太陽光発電を搭載したとしても、これから10年間で300万戸程度にしかならない。残りは既築住宅への搭載、つまりリフォーム市場での普及となる。残りの700万戸のうちの相当部分が、既築住宅の戸建での設置で占めるということになる。大市場がぽっかり口を開けて待っているのである。しかし、その市場は大手家電などの「売るだけ」の流通が担えるものではない。太陽光発電の既築住宅への設置は、そんなに甘いものではないのである。
名古屋で長年太陽光発電の設置工事を行ってきた会社では毎月100現場ほど工事を行っているが、「既築住宅での工事は相当ノウハウが必要だ」とその社長は語る。同社は10数年前から専業で太陽光発電の設置工事を行っている会社で、様々な問題を経験してきた。その会社は、「既築住宅は屋根形状が千差万別であり十分把握していないと、5年以内に半分はクレームになる」と断言する。
すでに国でもそうした実態は十分把握しているようで、リフォームでの施工指針を作っているところだ。既存住宅の瑕疵保険のスタートやインスペクション制度の動きと併せて考えると、既築住宅でのクレームは相当発生するという予測であり、その対策を立てようとしている。もっとも、それらの制度は太陽光発電のためだけではないだろうが、まだ技術・施工力の蓄積のないリフォーム業界では、こうした新たな制度が伴えば今まで以上に積極的に取り組めるはずである。
細工務店にとっては、そうした認定を取ることさえ結構難しく、手続きも煩雑なのだ。