
一方、住宅業界はまだそのことに気づかない。何となく気づいていても「自分たちは性能、デザイン、環境対応などで他社に負けない」などと言って新築市場を手放そうとしないでいる。何かと話題の住宅エコポイントに対しても「あれは大手がやっているだけ。地方では家そのものを建てる人がいない」と冷ややかだ。
しかしこのエコポイントも、省エネ目的から既存住宅市場の活性化へと目的を移そうとしているのだ。国では住宅エコポイントの延長を決めたようであるが、新たなポイント対象として設備機器も加えられる。これまでの対象は窓と断熱材だけであり、設備機器は即時交換方式でポイントを使えば何とかできた。ただ現状をみると即時交換によるポイント申請が現状ではほとんどない状況であり、国の思惑通りには進んでいない。そこで設備機器もポイント対象に加え、既存住宅でのリフォーム等で積極的に利用してもらおうという狙いだ。
ということは、つまり既存住宅流通活性化のための狙いでもある。リノベーションのポイントは先ほど言ったように水周りが新しくきれいなことである。これをきっかけにリフォーム・中古住宅市場がいよいよ住宅のメイン市場となっていくかもしれない。
これまで地域市場の中核をなしてきた工務店層は、創業15年から25年で社員数が5人から50人未満の会社であると思っている。これらはバブル前後にスタートした会社であり、一番儲けてきた人たちだ。事業所統計によるとこれらは平成18年時点で2万社ほどあったが、その後の大不況で相当減少したと思われる。この層は5年後には創業30年を次々と迎える。企業寿命30年説をとれば、これらがどうなるかは明らかだ。因みに、それ以前の創業の会社で残っていれば代替わりしているはずであり、またそれ以降の会社は創業者もまだ若い。
新たな市場の変化にどう対応するかは、市場の変化をじっくりと見極めるとともに、自らの企業体質の変化も見極めなければならない。今年10月1日には5年に一度の国勢調査が行われる。いままで世帯構造が変わってきたと述べたのは、もう5年前のデータでの話である。この間に住宅行政の市場も本当に大きく変化した。購買層の世帯の変化はもっと激烈かもしれない。