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木造住宅の市場動向

木造住宅の市場はいま、どうなっているか?
専門家にうかがってみました。

世帯構造の変化が変える
住宅購入のこだわりポイント。
住宅ジャーナリスト・福原正則

首都圏のマンションも明るさが見えてきた。便利な都心のマンションは土地価格が大幅に落ちたことから今が底値ということで、5000万円以上の高額な物件でも早期完売が出ている。こうした現象は中古マンションも同様で、新築に比べて割安感が出ており購入者などに人気が出てきている。
それを支えているのは、景気が良くなり収入が安定し消費者の購買意欲が増大してきたからではない。筆者は、購買層となる世帯の構造が大きく変化したからだと思っている。民間企業と働くサラリーマンの平均年収はこの十年間下がりっぱなしであり、一番新しいデータである平成20年では429万円と最低を記録した。その後の経済環境も決していいわけではないので、住宅の購買意欲が増しているとは解釈できない。それよりも大きな世帯構造の変化が、住宅購買層にも作用してきたのだ。子供がいない世帯、子育ての終わった熟年世代、30〜40歳の独身などが大きく動き出していると思う。これまで子育てファミリー世代の陰に隠れて見えなかった購買層が、表に出てきている。
最近、中古マンションのリノベーションが人気を集めているのは、まさにそうした購買層に支持されているからだ。これらの人々は、建物が新築であるかどうかということへのこだわりが少ない。以前であれば、高額なローンを長期間払い続けるためには新しいしっかりした構造躯体や性能が必要だという“新築”への思いがどこかにあったと思う。しかし、それよりも自分の住みたい場所やデザインへのこだわりのほうが強い。多少古くても狭くても気にしない。インフィル、特にバスルーム、トイレ、キッチンなどの水周りが新品で快適であればOKだ。リノベーションのポイントはこの辺である。
 国が今一生懸命、既存住宅流通促進で、インスペクションやリフォーム瑕疵保険を進めようしているのは、こうした世帯構造や意識の変化を相当に意識しているからだ。何の考えもなしに「エコ、リサイクル社会のめたにリフォーム、既存住宅の流通だ」などと言っているのではない。消費者は何が何でも新築が欲しいということではなくなってきたのである。

一方、住宅業界はまだそのことに気づかない。何となく気づいていても「自分たちは性能、デザイン、環境対応などで他社に負けない」などと言って新築市場を手放そうとしないでいる。何かと話題の住宅エコポイントに対しても「あれは大手がやっているだけ。地方では家そのものを建てる人がいない」と冷ややかだ。
しかしこのエコポイントも、省エネ目的から既存住宅市場の活性化へと目的を移そうとしているのだ。国では住宅エコポイントの延長を決めたようであるが、新たなポイント対象として設備機器も加えられる。これまでの対象は窓と断熱材だけであり、設備機器は即時交換方式でポイントを使えば何とかできた。ただ現状をみると即時交換によるポイント申請が現状ではほとんどない状況であり、国の思惑通りには進んでいない。そこで設備機器もポイント対象に加え、既存住宅でのリフォーム等で積極的に利用してもらおうという狙いだ。
ということは、つまり既存住宅流通活性化のための狙いでもある。リノベーションのポイントは先ほど言ったように水周りが新しくきれいなことである。これをきっかけにリフォーム・中古住宅市場がいよいよ住宅のメイン市場となっていくかもしれない。
これまで地域市場の中核をなしてきた工務店層は、創業15年から25年で社員数が5人から50人未満の会社であると思っている。これらはバブル前後にスタートした会社であり、一番儲けてきた人たちだ。事業所統計によるとこれらは平成18年時点で2万社ほどあったが、その後の大不況で相当減少したと思われる。この層は5年後には創業30年を次々と迎える。企業寿命30年説をとれば、これらがどうなるかは明らかだ。因みに、それ以前の創業の会社で残っていれば代替わりしているはずであり、またそれ以降の会社は創業者もまだ若い。
新たな市場の変化にどう対応するかは、市場の変化をじっくりと見極めるとともに、自らの企業体質の変化も見極めなければならない。今年10月1日には5年に一度の国勢調査が行われる。いままで世帯構造が変わってきたと述べたのは、もう5年前のデータでの話である。この間に住宅行政の市場も本当に大きく変化した。購買層の世帯の変化はもっと激烈かもしれない。

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