
いま動き始めているプレカット工場の認証という動きは、そうした実態を踏まえて、これまで法的根拠があいまいなままの在来木造住宅を法的な網の中に取り込もうというように見える。よく使われてきた在来系木造住宅の認定制度としては、これまでは合理化認定などがあったが、最近の法改正にどこまで対応できているかは不十分であるという意見も多くなっている。
そうした状況であるから、プレカット工場が行っている構造設計や生産品の品質管理、その他サービスについて基準を作り、認証することで在来木造住宅の品質・法対応への根拠を与えようというものだろう。そうすれば、いちいち設計士や大工とプレカット工場の担当者が議論をしなくても済むし、確認申請時のトラブルもなくなるというわけだ。つまり一般的な在来木造構法について、これまでの合理化認定工法のようなお墨付きを与えるということかもしれない。
聞くところによると、そうした在来工法のお墨付きを与える方法として、(1)型式認定 (2)図書省略認定 (3)プレカット工場認証などが想定できるとしており、そのなかでもプレカット工場認証は今年何らかの形で検討が始められるようだ。国が、こうした計画を進めている背景には、一つには建築基準法の厳格化の流れの中で在来木造住宅・軸組工法が、四号特例撤廃を猶予されたままであるからだと思う。猶予されているといっても、国は着々と瑕疵担保保険の義務化の実績を上げつつあり、保険事故を起こす木造住宅の生産、供給方法について、旧態依然の加工や下請大工による現場管理では問題が多すぎることが明らかになってきたからであろう。
工務店業界の圧力もあり当分四号特例の廃止は依然不明だが、一方では消費者庁が強力に消費者行政を押し進めて来るとなると、四号特例があるが故の建築業界の怠慢や不作為による住宅瑕疵問題は、大きな社会問題となるのは時間の問題だろう。国は、その防止策して、プレカット工場の認定による品質、法適応の確保という手段に訴えてきているのではないかとも思うのだ。新築住宅が大きく減少する時代背景の中で、プレカット工場の役割が木造住宅生産で、今後どのような役回り、ビジネスポイントとなるのか、大いに注目される。