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木造住宅の市場動向

木造住宅の市場はいま、どうなっているか?
専門家にうかがってみました。

2011年は、新築に替わる“大規模改修市場”のスタートとなるか?
住宅ジャーナリスト・福原正則

そろそろ来年の話をしなければならない時期になった。住宅市場はここ数カ月新築着工が好調だが、これはあくまで対前年比での話である。かつてのように新築が勢いを取り戻すのかというと、業界人でさえ殆ど期待しない時代の流れである。
そんな状況でも、長期優良住宅の認定住宅が毎月1万棟弱建設されるようなってきたり、そこまで高性能でなくてもエコポイントのおかげで殆どの住宅が次世代省エネレベルの性能となってきた。新築着工が減ったせいなのか、みな真剣に住宅性能を競っているのか、国が音頭をとっても中々進まなかった住宅性能のレベルアップが一挙に進み始めた。
その一方で、ここ数年の厳しい市場縮小で減産を余儀なくされていた断熱材だが、おかげで今年の夏場以降不足が深刻になっている。青森のビルダーから「何でもいいから断熱材がすぐ欲しい。トラックでどこにでも取りに行くから」と、筆者にまで電話がかかってきた。この会社では分譲住宅、アパートなど30数棟を建設中で、来年の3月末の入居を目指して事業計画を組んでいた。今の時期、断熱材が手に入らなければ、冬の間工事が全くストップするので死活問題だ。
経産省も事態を把握しているようで、断熱材メーカーも対応を進めている。ただ流通サイドからは「納品時期が分からない」「在庫品の注文が全くできない」などの不満が噴出している。現場ではグラスウールだけを当てにしていられないというわけでもないだろうが、ロックウール、スチロール系断熱材、その他断熱材も手に入らなくなっている。おかげで、値段の高い現場吹きこみのセルロース系断熱材も引っ張りだこだ。米国からセルロース断熱材を輸入販売しているアップルゲートジャパンでも、ここのところ需要が急増し対応に大わらわだ。

また、新築着工160万戸時代から比べると大幅に減少している木造住宅であるが、最近になってプレカット工場も元気を取り戻しつつある。ここ数年工場の淘汰が進んだということもあるが、非住宅分野への展開が大きく見えてきたからだ。この10月から施行された「公共建築物木材利用促進法」がその動きを加速している。国産材の利用促進を掲げる国では、現在、木造率が低い(平成20年度7.5%床面積ベース)公共建築物にターゲットを絞って、国が率先して木材利用に取り組んでいこうというもの。低層の公共建築物について、原則としてすべて木造化を図るというものだ。
プレカット業界では、以前から少しずつではあるが幼稚園、学校、公民館、グループホームなどの建設に携わり、大規模木造建築物の構造材加工を行ってきたが、ここに来て需要が急拡大してきた。各地で規模の大きい非住宅の木造建築が盛んになってきた。
これをビジネスチャンスと捉えているのが、木造住宅で30%のシェアを取るようなった接合金物工法メーカーなどである。木造でも構造計算が必要であるため、施工が簡単な上に接合強度が明確な金物工法が、新法下での低層の木造公共建築物の躯体構造として大いに期待されているのだ。あるメーカーでは、この法律施行直前に1棟1500m2程度の幼稚園などの物件を2棟手掛け、今後も受注拡大ができると、住宅需要以外での展開に積極的だ。
それやこれやで、2011年も住宅業界、特に木造住宅にかかわるプレカットなどの資材関連業界は明るさが見えている感じだ。住宅メーカー、工務店などでもエコポイント制度が1年延長され、しかも予算も1400億円と大幅に増強され、また節水型トイレもエコポイント対象になるなど、取りあえず長期優良住宅など高性能住宅、エコリフォームに期待が持てそうだ。
しかし、新築住宅そのものへの期待はますます望み薄の状況だ。前述したように断熱材、断熱サッシ、エコ関連、設備関連メーカー、非住宅の木造建築関連のプレカット、設計、施工などの分野は時代の波に乗ってきた。一方業界を支えてきた住宅の新築市場は、安価な分譲住宅と高価格帯の注文住宅になり、大手住宅会社や地域ビルダー・工務店が得意のいわゆる“注文住宅”(イージーオーダー型住宅)はなくなりそうだ。つまり市場の中心であった中間帯、ボリュームゾーンが消滅しつつある感じになってきた。
そうした新築住宅市場への期待感喪失を決定づけられたのが、国が発表した新成長戦略である。そのなかで「ストック重視の住宅政策への転換」を掲げ、中古住宅流通市場やリフォーム市場を10年間で2倍にしようというのである。最近のリフォーム市場規模はざっと6兆円、新築の住宅投資は14兆円程度である。つまり、これから新築住宅がどんどん少なくなっていっても、入れ替わりにリフォーム市場が倍になれば住宅産業の規模は維持できるというわけである。加えて中古住宅流通市場の活性化である。これを加えれば、住宅産業はこれまで以上に発展するとしているのだ。
現在の中古住宅流通の状況は、(社)不動産流通経営協会よれば09年の自己居住用の住宅では新築が45万戸に対して既存住宅の流通量推計値は46万件に達し、新築に匹敵するようになったとしている。中古住宅が1戸どれくらいの金額で取引されているか明確な数値が明らかでないので、ハッキリとしたことは言えないが、数量的には数年前の倍の量となっている。これを倍増させようというのであるから、10年後には年間ざっと100万戸である。
リフォーム業界では最近大規模改修の事例が多くなっている。金額的にも1000〜2000万円台で新築に匹敵する工事額となっている。これからリフォーム市場と中古住宅流通市場が大きくなる中で、こうした大規模改修の市場も大いに期待される。これが、今後の住宅建築市場の中心的な仕事になる。そう考えないと、新築住宅に携わってきた業界の生き残りはない。来年の話となると、新築住宅では全く先がない話となるが、新たなリフォーム市場、中古住宅流通市場の拡大を考えれば、新築に替わる大規模改修市場のスタートであり、2011年はその元年になるのではないかと考える。

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