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木造住宅の市場動向

木造住宅の市場はいま、どうなっているか?
専門家にうかがってみました。

高まる期待感と市場の動き。
住宅ジャーナリスト・福原正則
今年はみんな期待感が高い。昨年末の安倍政権の発足以来、円安、株高で期待感を高めているし、政策でもデフレ脱却・景気回復のための超金融緩和策や大型補正予算や25年度の積極大型施策が目白押しだ。
年の初めの1月は各業界団体の恒例の新年会があちこちで開催されているが、どこも昨年までとは違って雰囲気の明るい会場風景だった。曰く、「消費税増税前の駆け込み需要が期待できる」、「荷動きが活発になってきたし、資材価格も上昇してきた」、「大規模改修が多くなってきた」、「高齢者向けに注目している」など、など。昨年までは、そんなことを言えば、「ムリ、ムリ」、「どこの話」などとけんもほろろの体であったが、皆一様に期待感を示す。
一方国では、こうした市場の反応に対して早くも駆け込み需要の過熱と増税後の冷え込みを心配して、仕事が集中しない様、増税後の優遇税制等の積み増し、延長を決めて対応に出ている。
しかし、消費者側の考えに立つと、家を買うのに今の倍の10%の消費税を払うという現実は、購買意欲をやはり落とすことになるのは間違いない。生前贈与枠の拡大と引き替えに2年後から相続税の大幅な増額が行われる見通しであり、大都市部では対象となる人々がこれまでの4、5倍以上になると言われている。また、インフレ政策であるから、資材価格も上がっていく。また今後、職人不足が恒常化するので、工事価格も人件費の大幅な上昇が予測される。特に職人の工賃は最低でも現在の2倍にしないと、人が集まらない状況になると思う。つまり工事関連の値段がどんどん上がっていくので、どこまで税制優遇等の効果があるかは分らないのだ。
周りを見ると、今家を取得出来る層は親からなにがしかの援助や相続がある人が多い。サラリーマンの平均年収は十数年前には460万円あったが、今では409万円(平成23年)まで落ち込んでいる。年収300万円以下は全体の4割に達しており、住宅の一次取得層の中心であるはずの若い世代に多い。こうした層は税制優遇と言われても、戻ってくるのはわずかだ。優遇を十分受けられない人にキャッシュバックしようという施策もそのためだ。
住宅ローンだって、銀行がいくら金余りの状態になってきたとは言っても、年収の少ない若い人はなかなか借りられない。そして借りられたとしても先々の金利高が待っている。とすると、やっぱり先々の優遇より、今親がかりとなって住宅を買う方が良い。今時持ち家の比率は一般世帯の6割以上であり、少子化の影響を考えると相続する家や財産が少なからずあると言うことであり、増税の行方を考えればやはり駆け込み需要というか、消費者にとってはいまが家の買い時のチャンスであるといえる。
もっとも住宅を軽減税率の対象としてくれるのであれば話は別だが、国も1件当たり数百万円の税金を一度に徴収できる商品であり、年間数十万戸売れるものは捨てがたいはずだ。
そんな新築住宅の消費税がらみの今後の市場の不透明さを見越したわけでもないだろうが、国の住宅施策は昨年から大きく変わった。この欄でも紹介したことがあると思うが、そのきっかけとなったのは昨年3月末に出された「中古住宅・リフォームトータルプラン」だ。
 少子高齢化、エコ社会に対応した家造り、住まい方としてストック住宅の有効活用を目指した今後の住宅政策の大方針だ。政権が変わってもこの施策が引き継がれており、24年度の補正予算や25年度の予算で住宅施策の中心として着実に実施される予定だ。中古住宅流通活性化のための消費者が安心できる情報提供、インスペクション制度などの市場環境の整備をはじめとして、リフォームによる耐震性能、断熱・エネルギー性能の向上のための補助金、リフォーム瑕疵保険、住宅履歴等の活用に対する補助などが今年も盛りだくさんである。経産省でも「既築住宅における高性能建材導入促進事業費補助金」として、既築住宅での省エネ改修に対して、高性能建材を使った場合その1/3を補助する制度が新たに始まる。国交省でも省エネ改修に対しては積極的で、24年度の補正予算で50億の予算をつけ、建築物省エネ改修等緊急推進事業を行う。
 一方、新築では木造住宅の地域ブランド化住宅の補助金が前年度に引き続き行われる。24年度からスタートした制度であるが、最近二次募集があったばかりで、予算消化がなかなか進んでいない。不人気の理由は長期優良住宅認定が必要であることから、地域の工務店にはなかなかハードルが高いからだ。またゼロ・エネルギー住宅推進事業も重点施策となったが、新築住宅ではこれくらいしかない。逆に盛りだくさんなのは、低炭素住宅認定やら省エネ法改正・義務化などで、様々な分野で規制緩和が進む中で規制強化の動きは益々進む。
 それに比べると既築住宅では、建物関連だけでなく不動産関連の業界もビジネスチャンスを狙って積極的な動きを始めている。消費者が安心して住宅を購入できる様に建物検査を行うインスペクション制度について、今年3月末に「インスペクション指針」を出す予定だ。不動産業界では、このインスペクションを軸にリフォームに手を伸ばそうとしているのだ。
 で、これから新築市場は詰まるところどうなるかというと、少子高齢化の中で戸建注文住宅の市場は縮小する一方で、資材や労務費の高騰により住宅価格も上昇する。その市場縮小とコスト圧力に耐えられるところが生き残れるだろうし、消費税の圧力を跳ね返すことが出来るコストパフォーマンスを持つ分譲系、ローコスト系の住宅会社も勢力を一段と拡大する。そんな構図ではなかろうか。
 その間でこれまで中間価格帯のいわば中間仕様・性能を作ってきた一般工務店、ビルダーはどこへ行けばいいのか。結論として見えているのは、新築市場で元請として生きていくのは難しいということだろう。やっぱり国の言う通り、中古住宅流通とリフォームの市場だろうか。
 筆者はリフォーム団体の役員をしているが、最近聞く話として大都市、地方に限らす大規模改修が非常に多くなってきているという。で、業界の今後の最大の懸念は、仕事の確保では無く、現場技能者の確保であるという。大規模改修であれば、面等臭さを除けば新築に投入する様々な資源が使えるのである。
 増税前と増税後で、地域の住宅業界、工務店業界はその市場を大きく変えていく必要があると思うのだが。


※平成24年度補正予算案 住宅・建築物省エネ改修等推進事業 (1)


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