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木造住宅の市場動向

木造住宅の市場はいま、どうなっているか?
専門家にうかがってみました。

「中古住宅市場活性化ラウンドテーブル」って何だ?!
住宅ジャーナリスト・福原正則
消費税があがった。住宅業界や市場は、どうなるのだろうか。過去の増税で
は税率1%当たり新築着工戸が10万戸減った。今回は3%アップだからざっと30万戸減るのか。
昨年の2013年度は、増税前の駆け込み需要で98万戸程度と久々に100万戸に近い数字となった。さて、今年度の予想は、そこから30万戸引いて、ざっと70万戸ラインということになるのか。昨年は非常に忙しく人手不足も深刻だった業界。今年は真逆の状況が控えている感じだ。しかし、わずか5年前にも全く同じ状況があったのを忘れていないだろうか。2009年度の着工数は77万戸だった。前の年は104万戸の着工で、一挙に26万戸減ったのである。理由は言わずとしれたリーマンショックだ。当時日本はデフレのまっただ中で、住宅業界ではローコストな分譲住宅や賃貸住宅の建設が盛んだった。リーマンショックで、それらも一挙に冷え込み対前年比25%以上も落ち込んだ。昨年、住宅業界で頑張った企業は、大方がリーマンショックにも耐え抜いてきたところである。だから、今回も過去の経験を活かせば、何とか切り抜けられるだろう、と筆者は念じている。
ただ非常に心配な点もある。5年前と今とでは、住宅市場や業界の今後を予測する要素が大きく変わったという点である。それは要素というよりも、これからの社会の姿とか、社会の仕組みというものだと思う。今まで将来を考える上で、高齢化社会や人口減少等の影響を論じていたのだが、それが現実の要素として、我々住宅産業や住宅市場を動かし出した。
その最もよい例が現場技能者の不足状況である。このコラムでも何度か述べてきた問題であるが、これまでは地域差や企業力などによって不足感はバラバラであった。それが、団塊世代の職人達が全て65歳以上なり、大量卒業が着実に進んでいることに加えて、昨年の駆け込み需要で、全国的な職人不足が一挙に表面化。業界全体がもろに直面する問題となった。
国も建設産業だけで今後10年間で52万人不足と予測しており、住宅だけでなく震災復興、東京オリンピック・パラリンピック需要の大きな障害になるとして、人材確保・育成に向けて真剣な取り組みをはじめている。そのため、この4月はじめに「建設分野における外国人材の活用に係る緊急措置」として外国人技能実習制度を3年から5年に延長することを決めた。国は、そこまで今後の建設労働者不足を予測しているのだ。

そして、もう一つ現実のものとなったのが中古住宅の活用である。我々住宅業界に取っては、こちらの方がゆゆしき事態である。国がストック住宅、つまり日本全国で有り余る中古住宅を、有効な「住宅資産」として活用するための仕組み作りに動き出したからだ。数年前から国は住宅政策を新築から中古に切り替えてきたが、その最後に残されたテーマが住宅資産としての有効活用に関する仕組み作りである。木造住宅が20〜25年で資産価値がゼロになるといった現状を変えていこうというものである。住宅業界は土地神話と資産価値がゼロになるという思い込みがあったから、この数十年間、スクラップアンドビルドで発展してこられたのだと思う。この新築優位の原理を変えるというのだから大変である。「全面改修より新築のほうが安いから、今後も新築が優勢」と高を括っている人も多いが、そうはいかなくなった。
国交省では、昨年度「中古住宅市場活性化ラウンドテーブル」という会合を開催してきた。出席者は建築関係や不動産関係だけでなく、金融機関、住宅金融支援機構等も参加したが、オブザーバーとして金融庁も出ており、住宅の「資産価値」をめぐって、税収不足の今日、国の並々ならぬ意欲を感じるのだ。
で、ここでは何が議論されたかというと、要は、これまでのような住宅の建物価値消滅を防ぎ、中古住宅流通のなかで活用するためには、どういう市場環境の整備と制度が必要かというものだ。報告書では、1969年以降これまでの住宅投資累計860兆円だったのに対し、住宅ストックの現在評価額は340兆円にしかならないと指摘。ざっと40年間の間に520兆円の資産価値が無くなったのが今の住宅であるというのだ。一方、宅地を含めた住宅・宅地資産は1000兆円超で家計の現預金資産900兆円を上回っている。中古住宅を所有する多くの高齢者にとって住宅資産を資金化できれば多くのメリットがあり、経済にも好循環をもたらすと述べている。これまでのような大きな価値の減少を防ぎ、資金化出来る資産として中古住宅を使うためには、資産価値の新たな評価方法の開発普及、価値を守り向上させるインスペクションやリフォームの評価、中古住宅流通の活発化を支援する金融の仕組みなどで、新たな構築を進めていかなければならないとしている。
詳しくご覧になりたい方は、国交省のホームページに掲載されているのでご覧いただきたい(→pdf参照)。

具体的な狙いは、中古住宅の資産評価の基準を業界と共に変えていこうということなので、「本当にできるの」という声も聞こえてくる。しかし住宅建設は40数年前から世帯数よりストック数のほうが上回っていた。住宅余剰のなかで営々と年間100万戸以上建設されてきたのだ。お陰で現在空き家率は13%を超え760万戸以上だ。このまま新築住宅を作り続けていけば空き家率が20%を超えるのは時間の問題だから、我々はこれからも新築需要が同じようにつづくというようなそんな甘い考えを捨てなければならないと思う。
ただ、中古住宅・リフォームの活性化では、大元の不動産業界やリフォーム業界の抵抗が大きいのは事実である。現状の商売の仕方を変えなければいけないからだ。そんな事は、どの時代、どの業界でも起きてきたことで守旧派となるか革命派に身を投じるかの違いだと思う。これは日本の不動産業、住宅産業に大変革を起こすテーマであると筆者は思っているが、国交省では今年もこのラウンドテーブルで議論を深め具体的な方策の検討をするとしている。
最後に、皆さん「なんだ、新築とあまり関係ない話題だ」なんて思っていないだろうか。この議論は、今皆さんが建築している性能評価住宅や長期優良住宅に大いに関係があるのだ。
国では政策を作るために様々な学者や業界関係者を集めて委員会を開催し様々な問題を検討している。今回のラウンドテーブルでは、国交省がこれまで開催してきた委員会の集大成という感じがするのだ。特にここ2、3年行われた、中古住宅・リフォームトータルプラン委員会、不動産市場活性化フォーラム、既存住宅インスペクション・ガイドライン検討委員会などの成果を踏まえている。その1つに、「中古住宅に係る建物評価手法の改善のあり方検討委員会」というのがあって、中古戸建て住宅の評価手法の改善に向けた検討を行ってきた。これも3月末に「中古戸建て住宅に係る建物評価の改善に向けた指針」を策定した。
指針では、中古住宅の内容を基礎・躯体・内外装・設備の4つに大きく分類。基礎・躯体については、20年以上の長い耐用年数を設定しているが、そのなかで「長期優良住宅であれば100年超の耐用年数とすることを許容する」、「基礎・躯体部分の機能が維持されている限り、リフォームを行った場合は住宅の価値が回復・向上するととらえて評価に反映する」などとしている。
つまり、この記事の前段で長々と述べてきた「住宅資産価値」やその価値の「維持・向上」のためのリフォームをする大前提、源泉は「基礎・構造躯体」がしっかりしていることなのだ。工務店やプレカット工場等、今現場に携わる皆さんは、「長期優良住宅は100年超の耐用年数」について、現状と比較してどう判断するだろうか。 KD材や集成材の普及はよい方向だろうが、構造に関して耐震はよしとしても100年もの長期荷重に耐えられる構造となっているか、はなはだ心配である。壁体内結露なども気になるところであるが、いずれにしても今後の流れが新築からリフォームの時代になったと言っても、元は新築住宅をしっかり作らなければならないということでは変わらない。
新築は、一方でお客の要望なのか怪しげな構造が多くなっているが、「100年超の構造躯体」は新たな市場を作るかも知れない

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