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木造住宅の市場動向

木造住宅の市場はいま、どうなっているか?
専門家にうかがってみました。

今後の市場は右肩あがりか?
住宅ジャーナリスト・福原正則
昨年1年間の新設住宅着工戸数が発表された。大震災で大幅な落ち込みが心配されたが、結果は83万4117戸で、前年比2,6%増と2年連続の増加となった。これは、たぶん業界の皆さんの実感としても違和感がない数字だと思う。この欄でも何度か述べたが一昨年の後半から大都市圏をはじめ全国的に市場が活発だったし、景況感は、3,11以降一時ストップしたものの、5月以降は順次回復した。また、秋以降も全国的に繁忙感があり、震災被害の甚大だった東北3県をみても、仙台周辺などの市場が大きい地域は住宅需要が旺盛で、職人不足と相まってバブル状態となっている。原発事故で住民避難が続く福島県でさえも、避難地域外などは人口流入もあって忙しい状況だ。
また職人不足も全国に広がっており、震災復興地域だけでなく、首都圏での逼迫感は相当なものになってきている。さらに、四国、九州などでも職人不足の声は大きくなってきている。そのせいもあり、業界の感触としては、冒頭の数字以上の繁忙感を感じているのではないだろうか。
今回発表された平成23年(暦年)着工統計をざっと見てみると、利用関係別の戸数を見ると持家が30万5626戸(0,1%増)、貸家が28万5832戸(4,1%減)、分譲住宅が23万4571戸(16,2%増)で、唯一貸家がマイナスとなった。分譲住宅の中身を見るとマンションが11万6755戸(28,9%増)と大幅な増加となり、一戸建も11万6798戸(5,8%)と伸びた。
また地域別の動向では、昨年に比べ北海道が11,5%増、沖縄が10,4%増、九州が8,6%増と10%前後も増加した他、中国、関東、四国、北陸が数%の増となった。マイナスは東北の4,3%減をトップに、中部、近畿の3地域のみだった。3大都市圏別でみると首都圏は5%増でプラスだが中部、近畿圏ともマイナス。3大都市圏以外のその他の地域が3,3%増だった。3大都市圏別の傾向を見ると分譲住宅の供給で首都圏とその他の地域が20%内外の高い伸びを示した。理由はマンションの供給が大幅に増えたことで、首都圏では34,1%と大幅に伸びたほか、その他の地域では54,5%増の1万8953戸と大量に供給された。

昨年の住宅着工の傾向をまとめてみると、分譲住宅が大きく伸びたことと、持家が厳しい不況下であることや大震災にもかかわらず前年並みに推移したことが特長だろう。特にマンションの供給増大は、首都圏だけでなく地方都市でも進んだことが大きな動きとしてあげられる。
では、今年は一体どうなるのかということだが、業界としては昨年以上の伸びを期待するのは当然だし、復興元年でもあるので実数としても大きな伸びが確実視されている。建設経済研究所と経済調査会では、12年度の住宅着工戸数は88,8万戸と前年度より5%台の予測を出しているが、他の研究機関も概ね80万戸台後半を予測している。今年は明るいと言うのが大方の業界人の見方である。

ただ阪神大震災の時の住宅着工数の動きを見ると、震災の前年の平成6年はバブル崩壊から脱却し160万戸近くまで回復したが、翌年の震災の年には147万戸と前年より10万戸減った。その翌年の震災復興では164万戸と大幅な増加となったが、次の年から138万戸、119万戸、121万戸と低空飛行が続き、今日の“住宅冬の時代”につながっている。
では、今回の震災復興でも17年前と同様のことが起きるのだろうか。気になるところである。少子高齢化の進展、世界経済や国内経済の状況を見れば、明らかに新築住宅の需要は長期低落傾向であり、歴史は繰り返しそうな状況が濃厚である。国の施策を見ても「中古住宅・リフォームトータルプラン」を策定中であり、新築住宅への優遇策は期待薄だ。それで良いのだろうか。
ちょっと待って。もう一度歴史を振り返ってみる必要がある。阪神大震災のあった翌年は震災復興で住宅着工は大幅に伸びた。その翌年はどうしてまた大幅に落ち込んだのだろうか。いろいろ考えてみると、理由の一つは消費税が3%から5%に引き上げられたことではないかと思っている。これは現在の状況とウリ二つである。違う点は5%がわずかな期間のうちに10%と倍増することである。このままの政治状況では、どう見てもあと2、3年以内に消費税がそうなる可能性が高い。住宅業界にとってその影響は、阪神大震災後と比べてみても計り知れないのではないか。いま業界は消費税アップを織り込んで今年、来年と大きな仮需を見込んでいる。しかし歴史はその後の市場低迷を突きつけているのである。
住団連の樋口武男会長は今回の消費税率上げに対して「20万戸の減少、80万人の雇用が失われる。諸外国と同様住宅の消費税に対する配慮を要望」と訴えている。欧州各国の危機的状況を見るまでもなく、必要なものは上げていかなければならないが、住宅産業のわずか17年前の歴史を振り返ったとき、業界がどうなったかをしっかりと心に留めて考えなければならない。国はトータルプランで新築に取って代わってリフォーム市場を倍増させると言うが、高率な消費税に加えて、急激な建設労働者、大工などの減少ではそれもままならない状況である。


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